「不在の選挙」展第十声
石田喜美
ついにさきほど、午後8時に、2016年参議院選挙の投票が締め切られ、ニュース等で開票速報が流れました。http://www.smartnews.com/w/jp/election/20160710/
NHKニュースは、改憲勢力は「過半数確実」と報じ、朝日新聞ニュースでは「3分の2に届く勢い」だそうです。
開票速報を見ていたら、私が顧問をしている大学サークルのことを思いだしました。新入生向けのサークル紹介原稿を考えていたときのことです。
新入生向けのサークル紹介では、「男女比」の記載が求められていたのですが、サークルがサークルなので(セクシュアル・マイノリティ&アライアンスのサークルですからね!)、「男女比は無理だわー(笑)!」とかなんとかいいつつ、新たな記載方法(?)を編み出したりしておりました。
そうしてなんとか編み出した記載方法で、サークルのメンバー比を考えてみたものの「あの人はどうなる?」「この場合はどうなる?」の連続。そうしてなんとか分けきったあとにも、「パンセクシュアルがない!」ということがわかったりして…人間をカテゴリー化することの限界と不可能さをしみじみと感じた出来事でありました。
開票速報を見ていて、このときの「男女比」みたいだなぁ…と思ったんです。
「男」「女」というカテゴリーに当てはまる人たちがそもそも少ない(ほぼいない)し、そのカテゴリーは適切でもない。だから「答えようがない」。だからこそ、私たちは新しい「記載方法」そのものを考案するしかなかった。そうでないと自分たちのポジションを見つけられなかった。
「男」「女」というカテゴリーの中に、私たちは「不在」だったんです。
「不在の選挙」という言葉を聞いて、そして、「不在の選挙」展を見て、あらためて、この「不在」のことを思いました。
今回も、また、投票率は芳しくないようです。
今回の選挙前にも「自分と100%意見の一致する党や候補はいないのだから、よりマシなほうを選ぶべきだ」という言説があふれました。
それでも、やはり多くの人たちが、常にこぼれ落ちている。
これはもはや、問いの立て方とか、カテゴリーとか、そもそも何かをはじめるための前提・ルールが間違っているのではないか、と思います。
間違ったルールのままで、こぼれ落ちる人たちがこんなにもたくさんいる中で、あまりにもそれが問題視されないことに危惧を覚えます。
私たちはそろそろ、「選挙」という形式での問いの立て方、「選挙」に前提とされているカテゴリーのありかたを見直し、アップデートしていかなければならないのではないでしょうか。
2016年7月10日 石田喜美
石田喜美
ついにさきほど、午後8時に、2016年参議院選挙の投票が締め切られ、ニュース等で開票速報が流れました。http://www.smartnews.com/w/jp/election/20160710/
NHKニュースは、改憲勢力は「過半数確実」と報じ、朝日新聞ニュースでは「3分の2に届く勢い」だそうです。
開票速報を見ていたら、私が顧問をしている大学サークルのことを思いだしました。新入生向けのサークル紹介原稿を考えていたときのことです。
新入生向けのサークル紹介では、「男女比」の記載が求められていたのですが、サークルがサークルなので(セクシュアル・マイノリティ&アライアンスのサークルですからね!)、「男女比は無理だわー(笑)!」とかなんとかいいつつ、新たな記載方法(?)を編み出したりしておりました。
そうしてなんとか編み出した記載方法で、サークルのメンバー比を考えてみたものの「あの人はどうなる?」「この場合はどうなる?」の連続。そうしてなんとか分けきったあとにも、「パンセクシュアルがない!」ということがわかったりして…人間をカテゴリー化することの限界と不可能さをしみじみと感じた出来事でありました。
開票速報を見ていて、このときの「男女比」みたいだなぁ…と思ったんです。
「男」「女」というカテゴリーに当てはまる人たちがそもそも少ない(ほぼいない)し、そのカテゴリーは適切でもない。だから「答えようがない」。だからこそ、私たちは新しい「記載方法」そのものを考案するしかなかった。そうでないと自分たちのポジションを見つけられなかった。
「男」「女」というカテゴリーの中に、私たちは「不在」だったんです。
「不在の選挙」という言葉を聞いて、そして、「不在の選挙」展を見て、あらためて、この「不在」のことを思いました。
今回も、また、投票率は芳しくないようです。
今回の選挙前にも「自分と100%意見の一致する党や候補はいないのだから、よりマシなほうを選ぶべきだ」という言説があふれました。
それでも、やはり多くの人たちが、常にこぼれ落ちている。
これはもはや、問いの立て方とか、カテゴリーとか、そもそも何かをはじめるための前提・ルールが間違っているのではないか、と思います。
間違ったルールのままで、こぼれ落ちる人たちがこんなにもたくさんいる中で、あまりにもそれが問題視されないことに危惧を覚えます。
私たちはそろそろ、「選挙」という形式での問いの立て方、「選挙」に前提とされているカテゴリーのありかたを見直し、アップデートしていかなければならないのではないでしょうか。
2016年7月10日 石田喜美